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木育から考える森林のこと①〜地域の山を使うメリットとは〜

皆さま、こんにちは。
無垢の木と自然素材を豊富に使った、職人のていねいな手刻みによる「キグミノイエ」広報担当の木村です。

近年、地球温暖化により気温上昇や気候変動、異常気象などが原因による災害が増加しています。地球温暖化は、大気中に存在する二酸化炭素などの温室効果ガスの濃度が上昇することが原因の1つだと考えられています。地球温暖化を防ぐためには、大気中への二酸化炭素放出量を減らしていかなければなりません。
私たちの身近な温暖化防止に対する意識では、プラスチックごみを減らすため、レジ袋の有料化や、プラスチックスプーンやストローを紙製品や木製品に変更される店舗もあります。
そこで今回は地球温暖化防止に向けて、木を生活に取り入れ、森林の再生を考える教育活動「木育」についてお話しいたします。

木育とは

「 木育」とは、子どもから大人まで人々が木や木製品との触れ合いを通じて、木への親しみや木の文化への理解を深めて、木の良さや利用の意義を学ぶための教育活動のことです。林野庁が推進している「木づかい運動」の一環として全国的に取組みが広がっています。また、複数の教育関係者が連携し小中学生向けに開発された「木育プログラム」では、木に関する授業に森林での間伐体験や木工体験を組み合わせたものを実施している学校もあります。

まずは、私たちが木の良さを知ることからはじめましょう。

木の魅力

木は、人々にとって様々な心地よい感覚を与えてくれる素材です。

  • 心地よい湿度

木は湿度が高くなると水分を吸収し、低くなると水分を放出して、室内の湿度を一定に保つ事ができます。

  • 心地よい温もり

木は熱伝導率が低いため、熱を伝えにくく、人が触れた時に、温かく感じられます。

  • 心地よい香り

木の香りにはストレスを和らげ、心と体をリラックスさせる働きがあります。香りが私たちの気分に影響を与えることは知られていますが、近年では血圧が下がるといった計測データに基づいた評価も進み、木の香りによるリラックス効果が明らかになってきました。

  • 心地よい音

木には、音を和らげる性質や、効率よく振動を伝える性質などがあります。木にあるたくさんの細胞の壁により音がマイルドに聞こえます。

  • 心地よい手ざわり

木を触ると温かく感じられることからリラックス効果があることが解明されてきています。
木を触ると、ストレス時に高まる交感神経活動も抑制されることもわかってきています。さらに、血圧と脈拍数を抑える効果も明らかになっています。

山の環境保全とは

木を植樹するだけが木育ではありません。森林を守るために間伐を行うことで山の環境保全にもなります。
木が成長することで枝葉が重なり太陽の陽射しが土まで届かず、下草が生えないことにより木の成長を妨げ、二酸化炭素の吸収も低下します。また土や木々に栄養が届かず、土地がやせ、根もしっかり張ることができません。降雨などで土壌が流れ去り、根までが、むき出しとなることで土砂崩壊など災害が起きやすくなります。樹木の適度な間隔を保つために伐採すること間伐といいます。間伐することで、枝葉を広げることができ、太陽の陽射しを浴びることで木は光合成を行い、成長が促進されます。成長が促進された木は、二酸化炭素もたっぷり吸収して酸素に変えることができ、温暖化防止にもつながります。また、根をしっかり張ることができ、災害も起こりにくくなります。
また、伐採された木は燃やさない限り二酸化炭素を放出することはありません。家として建っている間は、炭素を貯蓄するダムとなり放出されることはありません。
たとえ燃やしたとしても、もともと大気中にあった二酸化炭素のため、増やすことにはなりません。

伐採する事で木はなくならないの?

日本の森林の面積は国土面積の約3分の2に相当し、世界でも有数の森林国です。その森林資源の約6割を人工林が占めています。森林資源は毎年増加しており、成長した森林(人工林)の多くが木材として利用できるにもかかわらず、外国産木材の輸入量の増加や林業の採算性の低下により、国産材の供給量は木材需要量の約3割に留まっています。木が使われずに適切な伐採が行われないと、新しく植樹することができず、高齢の木々ばかりとなり、二酸化炭素の吸収量の低下や、森林の水質浄化機能の低下につながります。また、木が建築に使えるようになるまで、植えてから約60年後です。建材としての強度が備わるためには時間がかかります。そのため、家は最低でも60年以上使い続けなければ、植樹した木が育ち、健全な循環が生まれません。約60年という健全な循環を守らず木を伐採し続けると、新しく植樹した木が育つまで、木はなくなり二酸化炭素の吸収も減り、災害も起きやすくなります。
このように森林(人工林)を元気にするため、「植樹」→「育成(間伐などの手入れ)」→「成長した木を伐採」→「利用する」というサイクルを回していくことが重要です。
そのために木の循環を考えて伐採すると、健全な森林の育成とともに住みやすい環境と資源を持続的に得ることができるようになります。

なぜ地域の木を使うの?

地域の木を適切に使用することで、森林の植樹や伐採が計画的におこなうことができます。森林が間伐などで整備された結果、山崩れや洪水など地域住民を災害から守ることにつながります。
さらに、地域の土地で育った木は、地域の風土に適しており、その地域の木を使用して建てた住宅は、地域の気候や風土に適した家だということです。
また、地域で使用することによって長距離輸送が必要ではないため、輸送時に発生する二酸化炭素も減らすことができます。

木の再利用とは?

間伐材や解体材木くずなどは、パーティクルボードやファイバーボード、木製ペレットなどに再利用されています。木は再利用ができれば100年、200年の命が与えられます。住み継がれる古民家も木材の再利用の知恵があります。

  • パーティクルボードとは

木を細かくしてチップ化します。チップ化したものを再び固めることで自由な大きさの素材をつくることができ、固め具合によって強度も調節できるボードになります。このパーティクルボードは家具や、建築材などに使用されるエコ素材です。

  • ファイバーボードとは

リサイクルされた木や製材工場で出る樹皮などをチップよりもさらに細かくして、繊維として活用します。この木の繊維を固めて板を作ります。こちらもパーティクルボードと同様に大きさや強度を調整できます。
また、繊維の密度を弱めて固めると断熱材や防音材ができます。これらは、木が持つ特性が活かされており、湿度が高いときは湿気を吸収し、湿度が低いときは水分を放出する機能があります。
キグミノイエは、断熱材としてウッドファイバーを使用しています。

  • 木製ペレットとは

乾燥した木を細粉し、圧縮整形した木質燃料です。ペレットストーブやボイラーの燃料として利用されています。

  • バイオマス発電とは

間伐材や伐採した丸太のうち建築土木で使用しない材、製材工場や加工場で出る木くずなどを燃焼して発電します。

 

このように健全な森林(人工林)を育成し、木を使うことで温暖化防止にもつながり、災害も起こりにくくなります。また、人々にとっては木材からのリラックス効果なども得られます。
このブログを通じて木の良さや利用の意義など木育について少しでもご理解いただければ幸いです。

次回は、木育から考える森林のこと②で森林の多面的機能についてお話しいたします。

キグミノイエでは長野県産、国内産の木を使用した、地域、環境、身体に優しい住宅づくりをおこなっております。

住宅の購入をご検討されている方や、お悩みの方などお気軽にお問い合わせください。

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